サイゴンのチュンクー(ローカル・アパート)生活について語る

 

チュンクー(Chung cư)とは

ベトナム・サイゴンで賃貸生活をするには、ビンホームのような比較的新しいアパートを借りる、サービスアパートに入居する、一棟建ての部屋借りといったパターンがあります。駐在員であれば月額数千ドルのサービスアパートに入居することも可能ですが、自腹を払って生活をするのであれば高すぎます。

最近では2区や7区を中心に新築の高層アパートが増えてきたので、2LDKや3LDKのマンション形式のアパートに1,000ドル程度〜入居することも可能になってきましたが、1区中心街に住むのであれば広い物件は数千ドル〜と家賃が高くなってしまいます。

チュンクーとはベトナム人向けのローカル・アパートのことで、家賃はローカル価格であるのに対して、そこそこ広い部屋を借りることができます。

今回は私がこれまで住んできたチュンクーをご紹介したいと思います。

EDEN (2009年〜2010年)

すでにこのチュンクーは取り壊されて、現在はTimes Squareになっています。場所はドンコイとレ・ロイの交差点、日本で言えば銀座4丁目和光ビルのような場所でした。写真では各階にベトナム国旗が掲げられていますが、これは最後まで移転に反対した住民が掲げたもので、当時はニュースにもなりました。1階のジブラルカフェや商店はすでに閉鎖されています。私もギリギリ最後の日までここに住んでいました。

フランス植民地時代に建てられたアパートで、室内は天井が高く、広々としていました。もちろんこの古さなのであちこちがたがきていましたが、天井扇もついていてなかなか快適でした。

目の前にはオペラハウスとコンチネンタルホテルがあり、本当にサイゴンの真ん中といった場所でした。

私の6階の部屋からの眺めは素晴らしく、夕日が人民委員会の向こうに落ちるのを毎日見ることができました。夕方、窓辺のソファに座ってビールを飲みながら夕日が落ちるのを眺めるのは至福の時間でした。

室内の家具は作り付けで、ソファも本体部分は最初から壁面についていました。クッションは後から取り付けられたものだと思います。

実際には別のベトナム人が住んでいたのですが、ペントハウスは屋上が広々として気持ちが良い場所でした。

屋上にはオブジェ風の庭がついていて雰囲気があります。広さもバドミントンくらいなら大丈夫な広さでした。写真の奥にはBitexcoファイナンシャルタワーがまだ建設中なのが見えます。

場所も便利で広くて快適だったので、気に入っていたアパートだったのですが、結局2年弱で私も立ち退くことになってしまいました。

チュンクー・グエン・タイビン(2010年〜2018年)

こちらはグエン・タイビン通りにあるチュンクーです。なんだかんだ8年間も住んでいました。EDENほどではないですが、ベンタン市場から歩いて5分という、やはり都心中の都心にあるチュンクーです。

現在、ベンタン市場前は地下鉄工事や地下街、新しい高層ビルの建設が行われており、あと数年もすると大きく雰囲気が変わると思いますが、このエリアだけは取り残されたような感じで残っています。

外国人には一般のチュンクーはハードルが高いため、以前は外国人は私くらいしか住んでいませんでしたが、ここ数年、大家が部屋を改装してAirbnbに貸し出すケースが増えてきて、欧米人の姿もちらほら見かけるようになりました。

私が住んでいたのは8階(日本の9階)でした。建物の古さと近代的な高層ビルのコントラストが気に入っていました。

ベトナム人が多く住むチュンクーでは、一階に止めたバイクが最大の資産です。そのため24時間、交代でガードマンが詰めていて、部外者が来るとどこに行くのか必ず聞かれます。長年住んでいて実感したのは意外にセキュリティが固くて安全だということでした。

ゴミ出しは各階に取り付けられたダストシュートから捨てるだけなので便利です。

チュンクー内には商店やカフェ、ヘアサロン、フォー屋、乾物店、タバコ店などが揃っていて、この建物の中だけで生活が可能です。おかげで土日はあまり外に出歩くことがありませんでした。

こちらは野菜屋さん。朝のうちにほとんど売れてしまうので、撮影した午後は閉店状態でした。

このチュンクーは10階建てのフロアに各階30世帯ぐらい入っていたので、合計で300世帯くらいの人が住んでいました。ベトナムでは小さな部屋に何人もの家族が入居していることが多いので、この建物だけで1500人くらい住んでいたのかもしれません。それなりに人口が多いので、しばしばキャンペーンガールがサンプリングを行ったり、果物やお菓子を売りにきたりしていました。

1階はほとんどがバイク置き場です。雨の日などは入出庫だけで大混雑していました。

各部屋の入り口はこんな感じですが、入り口を開けっ放しにしている部屋も多く、ベトナム人の日常生活が丸見えですが、ドアを閉めていると完璧にプライバシーは保たれました。

このアパートの難点はエレベーターが有料だということ。以前は昇り1,000VND、下り500VNDでしたが、今では昇りも下りも1,000VNDです。住民は月額30,000VNDの定期券を購入して乗り降りします。ガス管や自転車などはエレベーターが使えないので不便だし、貨物用なので遅くてイライラしました。

もう一つこのチュンクーの良くない点は、週末になるといくつかの家庭でカラオケ大会が始まるので、うるさくてしょうがなかったことです。これもしばらくするとなれましたが・・・

コストパフォーマンスと利便性を考えればチュンクーも選択肢の一つ

ほぼ10年近くチュンクーに住んできて思うのは、何と言ってもコストパフォーマンスの高さです。

最初のEDENは月$500、2番目のチュンクーは月$250でした。賃貸生活をするのであれば家賃はなるべく安く抑えたいものですが、ベトナムの大家は内装工事や改装に対してあまりうるさくないので、場所だけ確保して中は自分で改造すればそれなりに快適な空間を得ることができます。

1区の中心街で外国人向けのアパートであれば$1,000程度は覚悟しなければなりませんが、ローカルアパートであれば$300程度から入居することも可能です。

私の知人はこのアパートをお化け屋敷(笑)と読んでいましたが、住めば都でした。

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