【私の聖書】すべてのものがうつろうことを受け入れよう。そして流れに身を任せてみよう。

夏祭りの最中に感じるふとした寂寥感、サザエさんのエンディングテーマに感じる切なさ、私たちは物心がついた頃から楽しいことはいずれ終わるということを知っている。

この世界で最も巨大な力は時間の流れだ。時間は過去から未来に向かって一方的に流れて後戻りすることはない。時間の流れの前には私たちは呆然と立ちすくむしかないのである。

どんなに時にあらがおうとしてもそれは無駄なあがきであろう。永遠の富、永遠の美、永遠の幸福などは存在しない。全てのものはいずれ色褪せ、朽ち果てていく。

いい歳をして若い娘に手を出したり、粗を隠すために化粧を塗りたくるのは無駄な抵抗である。一時的には満足するかもしれないが、自分が死に向かってまっしぐらであるという事実はどんな努力をしても変えられないのである。

しかしいったん時の流れを受け入れてみれば、不思議なことに自分の世界が時間を超越していることに気づくはずである。そんな瞬間は仕事に集中をしたり、スポーツに熱中したり、絵や音楽を楽しんでいる時に訪れることがある。意識と世界が渾然一体化し、気がつけば時間と空間を超越していたという経験を誰もが経験しているだろう。

諸行無常と聞いて寂寥感や無力感を感じる人も多いだろうが、人間の意識は時間や空間を超越できる能力があるのである。だからあえて寂しく思う必要などない。それよりも自分のいま・ここに意識を集中することが重要なのである。