August 31, 2016

2枚の写真からベトナムでの経営マネジメントについて考えてみた

  ベトナムのある日のある店舗での風景 下の画像は先日Tweetした画像ですが2枚の写真を元にベトナムのマネジメント事情について考えてみたいと思います。 左の写真は入店前。多くの人々が列をなして入店を待っています。右の写真は入店後の風景。本来は大繁盛で結構なことであるはずなのですが、現実は深刻な状況です。 入りたい客が入れずに待たされており、この時は私は20分ほど待たされました。また多くの客が列に並ぶのを諦めて他店に流れていました。ところが入店すると半分近くの席が空席のままです。 原因はこの店舗は入店前にメニューを選んで前金を支払うファーストフード形式なのですが、2台あるレジのうち1台しか担当者がおらず、しかも列の先頭の客がメニュー内容が理解できずに5分近くああでもないこうでもないと話をしているためレジ処理が進まないという状況でした。 本来なら開いてるレジに助っ人がはいるべきなのだが 本来なら2台のうち1台のレジが空いているなら、助っ人が入ってレジ作業を助けるべきなのですが、ホールスタッフはのんびり構えて談笑しています。 「外でお客様が待っているから早くご案内してまずは席についてもらう」という発想は一般的な日本人の考え方ですが、ベトナムでは通用しません。なぜなら・・・ ジョブ・ディスクリプションに書かれていないことはしないベトナム人 ベトナムでは一般的に雇用時にジョブ・ディスクリプションを交わします。あなたの仕事はこれこれですよということを契約書に明記して、その作業以外を命令することは契約違反になります。 サッカーでいえばフォワードで採用された者はフォワード以外の作業はしない、バックで採用されたものはデフェンス以外の作業はしないということです。フォワードが得点のために走って前進しているのに、バックは後ろでだらだらしているという状態です。もちろんサッカーチームの本来の目的はゲームに勝つことなので、例えば、あと3分しかゲーム時間が残っていない状況では全員が得点のために敵陣地に前進しなければなりません。 状況に応じて機敏に動くということができないのがベトナム人の気質です。 ジョブ・ディスクリプションに書けない仕事が増えている 少し前に読んだ米国の経営管理の論文で、自分のポジション以外の仕事を積極的にやろうとしない社員は「首だ」という話がありました。ある部門Aと部門Bを組織化し顧客対応をさせると必ずAでもBでも対応ができない要求が起きてくる。そのためにAとBをつなぐ部門Cを新設したところ、さらにAとC、BとCをつなぐ新しいセクションが必要になってくる、ジョブディスクリプションに記載されていない仕事を積極的にやらない社員は結局首にする方が良いという話です。 例えばこれが工場労働のような場合であれば比較的部門の設定と業務内容の明確化は容易なのですが、サービス産業となるとそうはいきません。日々、思ってもいなかったような要望や要求が顧客から求められ、それに対して機敏に対応しなければなりません。とにかく瞬発力が求められるのですが、このような瞬間的な判断力と瞬発力はベトナム人が最も苦手とするところです。結局上で書いたような笑うに笑えない状況が起こるのです。 使えないマネジャー ベトナムで一番悩ましいのが使えないマネジャーが多いことです。経営者がマネジャーに指示を出しますと、当然、マネジャーは現場に指示をだします。ここからが日本との違いですが、数日たってマネジャーに「あの案件はどうなった?」と尋ねると、だいたいの返事は「誰それに指示をだしました・・・」という回答で終わりです。いやいや、あなたに頼んだのは業務を遂行することであって、業務命令を現場に出すことではありませんよと言っても、結局答えられずにしどろもどろになるのが大体の結果です。さらに悪いことに現在どのような状況になっているのかマネジャーが把握していないのがほとんどです。結局、自分で現場に指示を出して確認した方が早いという馬鹿みたいなことが起こります。 どうマネジメントしていくべきか 誰でも自分に与えられた仕事以外のことを命令されると嫌なものです。普段、慣れ親しんだ自分の仕事ではないし、それをやったからといって高く評価される訳ではありません。しかしそれではゲームには勝てません。 マネジメントの役割はいかに勝てるチームをつくるかということです。そんな時私は上で述べたサッカーチームの話をします。結局、担当者は状況が見えていないことが多く、なぜ今その仕事が必要なのかが分かっていないのです。仮に理解をしたとしても、やはり自分の仕事ではないという意識がどこかに残っていて、気持ちの良い結果が得られることはあまり多くありません。 韓国企業のように軍隊式に有無を言わずやらすという方式もありますが、なかなか日本人には出来ません。こういう面では欧米系の企業の方がもっとスマートに経営をやっているように思います。やはり長年、植民地経営と奴隷支配を行ってきた歴史があるからかもしれません。 和を以って尊しとなすの日本式ではうまく回らないように思います。悩ましいところです。  

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