ベトナムを舞台にした小説、林芙美子「浮雲」を読了

林芙美子の小説「浮雲」(1951年)を読了しました。小説の舞台は終戦直後から約3年間の東京ですが、前半は主人公のゆき子と富岡が出会った仏印(ベトナム)での話です。

あらすじ

Google Booksのあらすじでは

第二次大戦下、義弟との不倫に疲れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員富岡と出会う。様々な出来事を乗り越え、二人は屋久島へと辿り着いた——。終戦後、激動の日本で漂うように恋をした、男と女の物語。

となっています。

感想

基本的に恋愛小説であり、男性的な視点でしか物事を捉えられませんが、富岡の優柔不断かついい加減な生活態度に辟易としました。そのような富岡を恋焦がれるゆき子もバカ女の典型ではないかと思います。
読了感は清々しさや爽快感はまったくなく、なぜこれが小説の主題になるのか理解できません。
終戦後という時代背景もあると思いますが、男女ともにこんないい加減で不誠実な生き方は現代では到底受け入れられません。

ベトナムでのストーリーは主にダラットを中心に展開しており、ゆき子と富岡にとっても懐かしく美化されていますが、所々に垣間見えるベトナム人に対して見下した態度も気になりました。

唯一救われるのは、青空文庫なので無料で読めることですが、非常に読後感が悪いものでした。
高峰秀子主演で映画化もされていますが、こちらは有料なので見たいとは思いません。

ぜひ女性的な視点で読んでいただいて感想を聞いてみたいものです。

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