CBC Bandについてこのブログで取り上げるのは2回目ですが、以前よりもCBC Bandに関する情報がネットを中心に増えてきたように思います。インターネット時代の奇妙なところは、時代が経てばだんだん情報が風化して忘れ去られていくのではなく、新たな映像や情報がネットに発掘されてむしろ情報が増えていくということではないかと思います。
CBC Bandの代表曲といえばTinh Yeu Tuyet Voi(The Greatest Love)だと思います。ドラムとギターのイントロに続いてBich Loanの一度聴いたら忘れられないスピード感たっぷりのボーカルが始まります。ベトナム語ですが完全にハードロックです。
こちらは映画の1場面のように見えます。タイトルはCon Tim Va Nuoc Mat (The Heart and Tears)。ノリの良いロックで素晴らしい歌唱力です。
こちらはABCの映像。1971年サイゴン動物園で行われたロックコンサートの模様です。まるでウッドストックのようです。
こちらも人気曲のAre you ready! 音が割れているのが残念ですがその演奏内容は十分に伝わります。
CBC Bandの名前の由来は1区のメーリンの近くにあったCBC Barに因んでつけられたものだと思います。CBC Barは米国GIが集まるナイトクラブで、CBC Bandは毎夜ジミヘンやサンタナなどのカバーをしていました。1971年4月、テロリストによる爆弾テロでCBC Clubは爆破され、米国GI1名と14歳のベトナム人少女が亡くなりました。
こちらは同年10月のTrang Hung DaoにあったFillmore Far Eastというクラブの珍しいポスターとチケットです。CBC Clubが爆破されて、新たな場所で演奏を始めたのでしょうか。それにしても当時は爆弾テロの恐怖を抱えながらロックを演奏していたという時代でした。
当時、サイゴンに住んでいた日本人が「ある晩GIが集まるクラブに入っていたら米兵が総立ちになって驚かれた」と言っていました。ベトナム人と顔立ちの似ている日本人が入ろうとしたらテロリストと間違われたということです。
A Band on the Runというタイトルの、こちらもABCのレポートです。1975年サイゴン陥落の直前、CBCバンドは国外に逃れ、フィリピン、マレーシア、インドなどを転々としました。インドでの生活をレポートしたものですが、4:40秒あたりからWe are the refugees(僕たちは難民)を演奏しています。彼らの音楽性の高さが窺い知れる映像です。
1970年代初頭といえば、日本では「黒猫のタンゴ」「翼をください」「走れコータロー」などが流行っていた時代ですが、同じ時代に本格的なロックバンドとして存在したCBC Bandの時代性には驚かざるを得ません。
その後のCBC Band
彼らはオーストラリアへの難民申請をおこなったものの却下され、その後、インドで難民生活を続ける中サイゴン陥落を迎えました。まもなく米国への難民申請が受け入れられ、CBC Bandはテキサス・ヒューストンに難民として移住します。
そしてなんと今も現役なのです。
こちらのFOX NEWSの映像は5〜6年前のものですが、ベトナム帰還兵とのリユニオンイベントをおこなった時の映像です。Bich Loanの元気そうな姿も見えますし、何と言ってもバンドのロック魂が衰えていないのが素晴らしいと思います。