消費税軽減税率の導入検討に伴って、日本でもイギリスやフランスのようにインボイス方式を導入しようとする動きが出てきました。
物品によって消費税率が異なるとということは、自分の全ての商取引きを証明する必要が出てきます。一律に税額が決まっていれば話は簡単ですが、会社や個人が購入した物品ごとに税率が変わるのなら、何をいくら買って、その税率が何パーセントなのかを申告しなければなりません。
日本では請求書等保存方式という簡易方式で済んでいるのですが、ベトナムはインボイス方式です。日本方式とインボイス方式はここの解説が簡単ですが、今は消費税の計算は仕入先からの請求書を保管するだけなので簡単な手続きで済むものの、インボイス方式だと受け取ったインボイスと発行したインボイスの差額から税額が算出されるため、常にインボイスの入手、保管、発行には気を使わねばなりません。タクシーの領収書を保管するどころの話ではなくなってきます。
実際やってみればわかると思いますが、こんなバカバカしいこときちんとした業務作業に相当の労力を消費させられます。毎日インボイス(ベトナムではレッドインボイスとか赤領収書と呼んでいます)の発行のために、手が痛くなるほどサインをさせられますし、ちょっとした間違いがあってもベトナムの税務当局は申告を受け付けてくれません。
こちらのちょっとモザイクの入った写真は、請求者がレッドインボイスに記載した私の会社の住所番地を間違えたため、「この度発行したレッドインボイスに記載された住所は間違いであって、正式の住所はXXXXXであるので、レッドインボイスの発行者であるXXXXと受領者であるXXXXXは双方ともにこの住所で間違いないことを証明して申告します」・・・なんていうことが書かれているのです。
ちょっと飲み会に行って居酒屋でレッドインボイスを発行してもらおうとしても、自社の税番号をウェイトレスに伝えて、いちいち専用の用紙に手書きのインボイスを書いてもらわなければなりませんし、お店側も忙しい時はすぐにはインボイスを発行できないので後日郵送となることも多いです。
とにかくただでさえ官僚主義的で煩雑な手続きの多いベトナムなのに、日本も同じような方法を導入しようとしているとは・・・。 今は日本人の大多数はインボイスなど経験したことがないから、国民的な反論も起こってこないのだろうと思いますが、真面目にやろうとすると相当、経理の手間が増えてしまうのは間違いないはずです。