チームで進める仕事のアドバイスください

あけましておめでとうございます。新年早々ですが「チームで進める仕事のアドバイスください」というタイトルのメールを頂戴しましたので、今回は私の会社で実践している内容をご紹介します。

プロジェクトとタスク

仕事にはプロジェクトタスクがあります。プロジェクトとは案件のことで○○のお客様に対して$○○○○の金額の仕事を○○月○○日までに納品するという内容です。一方、タスクはプロジェクトを構成する仕事の単位で、プロジェクトを完了させるために必要な最小単位の仕事のことです。

プロジェクトはAirTableで管理をしています。実物のデータをお見せするわけにはいかないので一部モザイクをかけていますが、プロジェクト管理は顧客名、プロジェクト名、プロジェクトカテゴリ、ステータス、Person in charge(ここには顧客のメールアドレスを入力している)、納期だけのシンプルなものです。

ステータスのListedはまだ受注には至っていなものです。Workingは正式に受注をもらって作業を行なっているものです。

Listedのプロジェクトは資金繰りに反映しませんが、ステータスがWorkingに変わったものは売上と資金繰りに反映をします。

 

新たにプロジェクトが作られると、プロジェクトカテゴリに応じてタスクが生成され、タスクが各担当者にアサインされます。例えばNamecardカテゴリのプロジェクトはNamecardのタスクが、WebカテゴリのプロジェクトはWebのタスクが生成されます。タスク管理にはAsanaを使用しています。

例えば下の画面は名刺のデザイン・印刷に関するタスクをAsanaで表示したものですが、1つのプロジェクトに9つのタスクが初期設定されています。

名刺作成という小さなプロジェクトですが、このプロジェクトだけでも初期設定以外にも2つのタスクを加えて11個のタスクがあり、私を含めて4人のメンバーが関わっていることがお分りいただけるかと思います。

Airtableでプロジェクトを入力したらAsanaでタスクが自動生成されて、担当者と納期が自動で割り当てられます。タスク割当のポイントは

  1. これ以上小さくできないという単位までタスクをブレークダウンする
  2. 各タスクには担当者(=責任者)と納期を明確にする

の2点です。

最小単位までブレークダウンする

タスクを最小単位までブレークダウンする理由は、仕事の内容に説明を要しないレベルまでタスクを小さく切り分けるためです。タスクをアサインされた担当者に対して、仕事の内容に関して説明が必要であれば、まだタスクは小さくなりきっていません。もうこれ以上小さくはならないという最小単位までブレークダウンすることによって、担当者はいつまでに何をやるべきなのかが明確になります。

プロジェクトがうまくいかない最大の理由は、担当者が何をやれば良いのか理解できていないということです。特別な訓練がなくてもすぐに着手して終わらせることができるまで、仕事を小さく・具体的にして指示を出すべきです。これはマネジャーの役目です。

口頭で指示はしない

仕事がうまく回らない理由の2つ目は口頭での指示です。指示を出す方は当然指示内容について分かっているつもりですが、担当者はその半分ぐらいしか理解していません。そのため報告が上がってきたときは満足のいく結果になっていないのです。指示を出す方は100%のゴールラインが見えていますが、担当者は60%程度のところしかゴールラインが見えていません。

したがって、口頭で指示を出すことは危険です。お互い分かったつもりでも、本当のところは理解してもらえていないのが現実です。そのため口頭指示ではやり直しが発生しがちです。一発で完璧に持っていくためには、指示を出す際にはいつまでに何をどうするべきなのかを具体的に文書化して指示を出す方が確実です。

わが社ではすべての指示はAsana上で行われます。担当者は指示されなかった仕事をやらなかったからといって責められることはありません。

また指示を出した側が自分が出した指示を忘れているというケースもあります。担当者はせっかく一生懸命仕事をやっているのに、上司が指示を忘れているとやる気をなくしてしまいます。上司は常に自分が出した指示を覚えておかなければなりません。そのためにもAsanaのようなツールは有効です。

報告を求めない

日本式の経営では報連相が重要だと言われますが、そんなことに時間を費やしているようでは、このスピードが求められる時代についていけません。担当者が独自の判断で仕事をどんどん進めていって、管理者はリアルタイムにその状況を把握できるようにならなければなりません。もしマネジャーがプロジェクトに危険性や問題点があると判断したら、担当者を読んでディスカッションすれば良いのです。

AirTableやAsanaやDropboxにはコメント機能がついています。これらのコメント機能を使うことで、リアルタイムに質問や指示を出すことが可能になります。どのコメント機能を使ってもGmailにメールが転送されるので、コメントの読み忘れや返信忘れはありません。

マネジャーは担当者に報告をさせる立場から、担当者にアドバイスを与える仕事にシフトすべきだと考えます。

ルーティン化と自動化

現在、わが社では常時25〜30のプロジェクトを抱えており、各プロジェクトには20〜50のタスクがあります。そうするとタスクだけでも常時500〜1500あるわけで、これをいちいち手入力していたら追いつきません。したがって、Airtableにプロジェクトを入力した時点で自動的にタスクが生成されるように自動化を図っています。またWEB開発といっても毎回違う仕事が発生するわけではありません。発生する同じタスクはルーティン化して同じ仕事であれば特に頭を使わなくても済むようにしています。とにかく考えなくてもできるまで自動化とルーティン化を図ることが目標です。仕事がスタックするのは、ワークフローの中で不完全が生じるためです。誰がやっても完璧になるようにするには人に依存するのではなく、システムに依存すべきです。

マニュアル化

例えばClosed Won Procedureというタスクがあります。これはListedのプロジェクトが正式受注してWorkingに変えた際に生成されるタスクでいわば受注処理という仕事です。ここで発生するのは

  • プロジェクトデータベース(Airtable)のステータスをListedからWorkingに変更する
  • HubspotのDealをClosed Wonに変更する
  • 会計ソフトのXeroにInvoiceのDraftを作成する
  • 関係スタッフにプロジェクトが受注になったことをメールで周知する

といった派生業務です。これらの派生業務を漏れなく完全に遂行するために、Asanaのタスクにマニュアルへのリンクを掲載しています。

業務マニュアルはScrapboxを利用していますが、受注時にはどのような処理を行うべきなのかがマニュアルに記載されています。

タスクの詳細欄にマニュアルの該当ページへのリンクを記載

実際にリンクをクリックするとマニュアルの該当ページが表示されます。

タスクで指示を出すわけですが、そのタスクをどのようにやれば良いのかをあらかじめマニュアル化しておくことで、自分がタスクを完璧にこなしているのかどうかが確認できます。マネジャーである私もいつも全てを覚えているわけではないので、自分がやっている仕事に漏れがないかどうか、時々マニュアルを見ながら確認をしています。

まとめ

ここで紹介したツールは無料で利用可能なものばかりです。システム投資はさほど必要ではありませんが、システムを会社の業務に根付かせるためには経営者がまず率先してシステム化を図る必要があります。私の会社で主流のスタッフは若い・ベトナム人・女性スタッフです。年齢差、国籍差、性差の3重の差がある限り、分かり合えることよりも分かり合えないことの方が圧倒的に大きいことを意識しています。お互い分かり合えないことを前提にしてどう仕事を回していくのかが課題であり、この改善プロセスは永久的に続く課題であると考えています。

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