社員のモチベーションを上げるための給料・報酬はどう決めたら良いのか?

 

社員の報酬を決めるのはいつも悩ましい

ベトナムで会社経営をしていると社員の評価やモチベーションアップのためには報酬=給料が重要だということに気づかされます。もちろん社員が求めているのは安定的な固定収入でなるべく大いに越したことがありませんが、いったん給料が決まってしまえば多くの社員はそれ以上には働こうとしません。経営者としては朝8時から午後5時まで出社したから給料を支払っているのではなく、業務を遂行して利益に貢献しているから給料を支払っているのですが、出社しているのだからカネをくれという態度だと支払う方は気分が良くありませんし、社員側にも不満が残ってしまいます。つまり給料と報酬の問題はいつもお互いが満足行くような結果にはなりません。長年、この労使間の矛盾を解決する方法はないものかと模索してきましたが、今年から導入を開始した利益配分システムがそれなりにうまく稼働しているのでご紹介したいと思います。

利益配分システムとは

会社にとって重要なのは売上よりも利益です。自分たちが生み出した利益は自分たちの判断で再投資をしたり分配をすることができます。利益配分システムは会社が四半期ごとに生み出した純利益を社員に分配するというものです。計算式は次の通りです:

社員分配額=純利益 x 10〜20% (平均15%)

つまり四半期の純利益の10%から15%を社員に分配するというものです。

問題はこの利益をどのように分配(山分け)するかということですが、そのために次のようなルールを作りました。まずプロジェクト単位の売上(税抜き請求書の合計額)から税抜き外注費を差し引いてプロジェクト毎の粗利額を算出します。次にこの粗利額に対して誰がどの程度貢献したのかを算出します。プロジェクトを受注した者(プロジェクト・オーナー)は45%の取り分です。

プロジェクトオーナー=粗利額 x 45%

次に実際にプロジェクトを担当したスタッフはプロジェクトに対して働いた時間をもとに貢献度を算出します。

ただし単純に時間で計算すると、能力がないために長時間かかったにも関わらず取り分が多くなるという問題が発生します。この問題を防ぐために、あらかじめ各人に与えられた持ち時間を超過した場合は評価対象外とします。例えば、あるプロジェクトに対して

Aさん:10時間

Bさん:7時間

Cさん:3時間

働いた場合、各人の分配率は次のように計算します。

Aさん=粗利額 x 45% x 10 / (10 7 3)

Bさん=粗利額 x 45% x 7 / (10 7 3)

Cさん=粗利額 x 45% x 3 / (10 7 3)

最後に残りの10%は経理・総務スタッフに配分されます。

具体的に売上100万円、外注費30万円の業務を行った場合、次のような計算式で利益を配分します。

プロジェクトオーナー=(100–30) x 45% = 31.5

Aさん=(100–30) x 45% x 10 / (10+7+3) = 15.75

Bさん=(100–30) x 45% x 7 / (10+7+3) = 11.025

Cさん=(100–30) x 45% x 3 / (10+7+3) = 4.725

総務経理=Bさん=(100–30) x 10% = 7

もちろんこの金額をそのままスタッフに支払うわけではありません。これ以外にもオフィス賃料、交通費、文書費など各種経費がかかりますし、内部留保もしなければなりません。あくまでも利益を配分するための比率(山分け率)を算出するための数式です。

実際の運用

通常、私の会社では常時40〜50のプロジェクトが稼働しており、四半期ごとのプロジェクトは100前後が計上されます。これら計上(請求書を発行した)プロジェクト毎の粗利益を合算し、各々のプロジェクトに対して社員ごとの利益貢献率を集計して配分を決定します。

計算式は単純ですが、実際にこれをExcelなどで運用しようとすると膨大な計算式が発生して現実的ではありません。プロジェクトの途中で予算が変更になったり、外注先への支払額が変化したり、思わぬ事情で作業時間が増えてしまったりと、予定通りに遂行できるプロジェクトなどほとんどありません。その都度、各スタッフへの分配率も変化します。

実際のシステムを説明しようとすると膨大な記事が必要となるので簡単に説明すると、Airtable上にデータベースを組んでプロジェクトごとの集計を行い、Airtableが吐き出すJASONファイルをKlipfolio上で集計し、社員分配額をダッシュボードに表示しています。各人の働いた実績時間はTogglで集計しています。

給料と利益分配額は必ずしも比例しない

この方式のポイントは本人の給料が多いから分配額も多いわけではないという点にあります。給料の高いスタッフは上司からの評価も高く、分配も多くなりがちですが、実際は月$800のスタッフが$100の分配しかないのに、月$400のスタッフが$2000の分配を受けることもあります。前者が3ヶ月間で$2500の受取額なのに対して、後者は$3200の受取額です。この仕組みには経営者である私の判断が一切加味されないので、とにかく利益を生み出したものが勝ちという仕組みです。

当然、経理であっても総務であったも、新たに仕事を引っ張ってきたものはプロジェクトオーナーになるので利益分配の対象になります。インターン生にも同様の仕組みが適応されるのですが、さすがにインターン生で多額の利益配分をとるつわものは今のところ現れてはいません。

給料は独裁的に決まる

一方、社員にも伝えてあるのは各人の給料は経営者である私が100%決済をするということです。昇給、減給の権限も全てオーナーである自分にあります。決定の過程は非公開で、基本的に個人的な評価と判断で決まります。極めて独裁的、非民主的、不公平なやり方で決めていますが、立場を変えればこれはお客様から仕事をいただけるかどうかと同じプロセスです。どんなに素晴らしい商品やサービスを提供していてもお客様に嫌われたら受注をすることなどはできません。仕事ができる人が給与面でも高評価になるのは自然の流れですが、このプロセスを民主的・公平にやろうとすること自体に無理があるように思います。しかしこれまでは社員に対する報酬は給料しかなかったため、どうしても社員側に不満が生じていました。私としては会社全体の状況を判断して評価しているつもりでもどうしても社員側に不満が残ってしまいます。しかし利益配分システムを取り入れてからは会社の空気が大きく変わりました。

まとめ

現時点ではこの方法がうまくいっています。スタッフ一人ひとりの経営に対する関心が高まりましたし、利益を生み出すためにはだらだらとメリハリのない仕事をしていてはダメだということも理解し始めています。何よりもこの方法を導入してから一度も単月赤字になったことがありません。もし自分の会社でも同様の仕組みを導入したいという方がおられればご連絡ください。具体的な構築ノウハウをお教えします。

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