営業活動のルーティンワークの中で見積作業は意外に面倒なものです。取引先には少しでも早く見積もりを提出したい、仕入れ(製造)の現場からはなかなか積算が上がって来ない、見積の送信、発注確認などメールのやりとりが多いなど、見積にかかる作業コストは馬鹿になりません。経理アプリのXEROにはQUOTATION(見積)機能が実装されており、うまく利用することで見積作業の効率を大幅にアップすることができます。
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見積作業をシェアする
もしローカルPCのExcelを使って見積作業をしているなら、見積作成ができるのは作成者本人だけです。クラウド経理アプリのXEROであれば複数のスタッフがネットを通じて作業を行うことができるので、見積作業をシェアすることができます。例えばパンフレットのデザイン・印刷プロジェクトの見積を行う場合、デザインの行はデザイナーが、印刷の行は購買担当者が見積を作成するということが可能です。
複数スタッフが1本の見積を作成するとき、見積書のバージョン管理をしなければならないという問題が発生します。なんども書き換えを行っているうちに最新版ではない旧バージョンの見積をお客様に送ってしまうという事故の可能性があります。しかしクラウドアプリであれば、常に最新のデータしか表示されませんのでバージョン管理に気を使う必要はありません。
見積=営業、請求=経理になっていないか?
ありがちな話ですが、営業部門が見積を作成している間、経理部門が無関心なため、どのような営業活動が進捗していて、どのような売掛金と買掛金が発生しそうであるのかを知らない場合があります。暗黙に見積作業は営業活動の領域、経理が関与するのは請求書を発行してからという考えがあるためです。しかしこれは危険な縦割り主義で、大きなプロジェクトを受注しそうであれば、経理は予め受注の可能性を予見して資金の手当てを開始しておかなければなりません。もしくは営業部門と経理部門を統括して管理者が両部門に指示を出さなければなりません。セクショナリズムの風潮が強いベトナムでは部門間にまたがる課題が問題発生源となりがちです。
XEROのようなクラウドアプリであれば部門間を渡って情報共有ができているため、どのような見積が誰に発行されているのか、経理部門も常時閲覧することが可能です。
見積送信機能
見積をPDFに変換してメールでお客様に送る、たったそれだけのことなのですが、月に50本、100本も見積を作成しているとそれだけで大仕事です。XEROには見積書をクラウドから直接クライアントに送付する機能が装備されています。
見積を作成してSend…ボタンをクリック
あらかじめ作成しておいた見積送付文のテンプレートを選択
見積本文を編集して送付。自分宛にコピーを送付することも可能
見積の作成、編集、送信、顧客が閲覧したかどうかなどの履歴が自動保存
XEROの見積は全ての作業履歴を残していますので「あの見積どうなった?」の質問が不要になります。マネジャーが全ての見積に目を配ることはある程度の規模になると困難です。XEROの見積機能を利用すれば、問題発生の前に見積活動を確認することが可能になります。
オンライン受注機能
受注情報は口頭、電話、メールなどでもたらされますが、XEROはオンラインの受注機能を標準装備しています。メール本文のリンクをクリックするとオンライン見積画面が表示されます。
メール本文のリンクをクリック
オンラインで見積確認。Acceptをクリックすると受注となる
営業活動で多いのは「受注確認」作業ですが、お客様もネットからAcceptボタンをクリックするだけのシンプル操作なので簡単です。もちろん、Accept後に正式の契約書を発行する場合や、着手金の請求書を発行するなどの作業が発生しますが、クラウドシステムであれば、受注後の作業を自動化させることも可能です。
見積有効期限と受注状況確認
何十本もの見積を発行している場合、各々の見積がどのような状況になっているかの管理も必要となってきます。XEROではDraft/Sent/Declined/Accepted/Invoicedと見積書のステータス管理ができるので便利です。見積書を発行したまま見積有効期限が過ぎてしまった場合でも、有効期限を延長するのか見積を破棄するのか、営業スタッフが判断して見積管理が可能です
スマホからの確認
XEROにはスマホ用のアプリがあります。クラウドにアップされている経理情報はほぼスマホからも確認が可能なので、見積書の発行状況などをスマホから確認することが可能です。移動中のタクシーの中で、顧客から見積に対しての質問が会った時などは、その場で発行した見積が確認できます。
XEROの見積機能の限界
XEROはAPIが公開されており、G Suitesや他のクラウドシステムと連携することが可能です。例えば、XEROから請求書を発行したと同時にGoogle Spreadsheetの請求書一覧シートに請求情報を転記するといった作業は自動化が可能です。
残念ながらXEROのAPIには制限があって、QUOTATION(見積)はAPIが公開されていません。業務の自動化を考えれば、顧客がAcceptボタンを押したと同時に、インボイスを作成したり、各部門に受注メッセージを送ったりといった業務フローを自動化したいのですが、XEROの見積機能ではそれができません。
IntuitのQuickBooksは見積作成のAPIが公開されているので、これからクラウドアプリを導入される方はそちらを選択した方が良いかもしれません。
まとめ
XEROの見積機能は経理アプリの一部にしか過ぎませんが、導入することで営業活動とバックオフィス活動の大幅な作業効率化をもたらしてくれます。まだExcelやWordで見積を作成しているのであれば、今すぐにでもクラウド化すべきだと思います。