先日久しぶりに般若心経を写経しました。262文字を書くのに私の場合、約3時間かかります。正直なところ写経などやってもなんのご利益もありませんが、約3時間(人によっては1時間半とか2時間)シンプルに文字を書き写すだけの時間は贅沢でもあります。

教則本

私が写経を行うのに参考にしているのがこちらの「般若心経練習帳」です。一文字ひと文字の書き方に加えて、各文字の意味まで解説してくれています。以前は1日1フレーズ、大体10文字前後を毎日写経していましたが、現在は他のことで忙しくなったので、時間がある時に一挙に262文字を写経しています。

今の生活は仮の生活ではない

ここからは少し真面目な話をしますが、現在のコロナ禍の中で私たちの生活は大幅に自由が制限され、どこか心の中で、「本来であればもっと違った生活が送れるはずなのに、コロナのために自分の人生や生活が大幅に制限されている。コロナが解消したらもっと自由に伸び伸びと生きよう」とは思っていませんでしょうか?私も日々のロックダウン生活の中で、ついつい「今の生活は仮のものであり、本来であればもっと充実して違った人生がある」というような考えに陥りがちです。

しかし仏教的な考えでは、過去も未来もなく、あるのは「いまこの瞬間」だけです。諸行無常、全てのものは移り変わり、一時でもとどまることはありません。
つまりコロナ禍に生きる私たちの人生そのものがリアル(現実)であり、そうでない人生は観念的なものでしかありません。

ついつい私たちは今この瞬間から目がそれて、将来のためとか、困らないようにとか、いずれ状況が変わったらなどと余計なことを考えがちですが、コロナがあろうとなかろうと注目すべきはいまこの瞬間の輝きと幸せしかないということです。

仏教で真面目ということは死を意識して生きることであると捉えられているようですが、もしいまコロナに罹ったら1週間後には亡くなってしまっている可能性は否定できません。人は正常化バイアスが働くため、多くの人は自分はコロナなどで死ぬことはないと思っていますが、別にコロナであろうとなかろうと死はいつも私たちの側にあります。だから今日を精一杯生きることが大切なのだということを般若心経は語っているように思います。

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