先日引退を表明したアーノンクールによるモーツァルト後期交響曲集です。
クラシック音楽に詳しくない方のためにあえて説明すると、この演奏は古楽器による演奏です。長らくオーケストラはホールの巨大化、観客の多人数化に伴い現代化、巨大化してきましたが、1950年代後半ごろからアーノンクールらによって、モーツァルトやベートーベン当時の楽器を使って当時の編成で指揮、演奏するスタイルが広がってきました。例えばフルートは現代オーケストラのような金属ではなく、木製のフルートです。現在では古楽はクラシックでも人気のある分野です。映像を見ても現代クラシックとは異なる楽器を使用していることがわかると思います。
古楽といっても古臭いイメージではありません。丹念に当時の歴史的背景や作曲家の研究を進める中で、作曲者の意図になるべく近い形で演奏しようというものです。
一つひとつの楽器の音が生き生きとして素晴らしいハーモニーです。特に低音部分の響きは鳥肌もの。
オーディオでいうならJBLのフルセットスピーカーではなく、小粒のハイスピードスピーカーで聴くような感じです。
ジュピターは第1楽章などこんなにゆっくりした演奏で良いのかと最初は思いましたが、とにかく出てくる音がハイスピードでシャープ。パワフルな第4楽章へ向かって一直線に進んでいきます。いま最も最先端のクラシック音楽がここにあります。