先日、18歳の少年が波照間島から北海道稚内市まで徒歩で縦断するというニュースがありましたが、本人は5日目で断念したという新たなニュースが入ってきました。いかにも日本らしい騒ぎだったと思います。
目次
断念の経緯
J-castニュースによると
「皆様、ご報告が遅れてしまい申し訳ございません。『徒歩で日本縦断』の挑戦につきまして、SNS上で多くの意見を頂きました」
チャレンジ断念の理由として、SNSで多くの人から今回の計画にあたっての問題点を指摘されたことを挙げ、具体的には次のように説明した。
「厳冬期である12月~1月に日本海側・北海道を通るというのは雪道を走行するドライバーの方や地元の方々に迷惑極まりない事だと実感いたしました」
「この僕の身勝手な行動のせいで警察や救急車を出動させれば、地元で本当に困っている人が助からない可能性もあります」
ということだそうです。5日間歩いてみて自分に体力がないことを実感したとか、危険な目にあってこれ以上旅行を続けるのは困難だという理由ではなく、SNSで多くの人から今回の計画にあたっての問題点を指摘されたことという理由が引っ掛かりました。
黙って実行するべきだった
同調圧力の高い日本社会では、人と少し違ったことをやろうとすれば、多くの場合、SNS上でこのような批判にさらされることになります。
この少年の心の中にどこか人と違ったことをやって他人に賞賛されたいという気持ちがあったのかもしれません。本当に歩いて日本縦断をしたいという気持ちがあったなら、SNSなどに書き込みをせずに、黙って実行すべきだったのかもしれません。
危険はあるが準備さえ整えればできたはず
SNSの指摘では「今から旅を始めれば北海道に到達するのは冬季であり、極寒の中、歩いて稚内を目指すことは危険である。もし何かあったら多くの人に迷惑をかけるのだからやめるべきだ」というものでした。
冬季北海道の気温は実際体験したことはありませんが、マイナス20度くらいでしょうか?その程度であれば、十分準備を行えば大丈夫な気温です。
北アルプスの冬山は極寒期は最低気温がマイナス20度程度ですが、実際は歩いている間は汗をかくほどですし、寝袋と防寒着さえちゃんとしていれば問題ありません。
あまり人には話したことはありませんが、私は5年間くらいはお正月休みは南北アルプスを単独縦断していました。ほとんど人に出会うこともなく、何かあれば命を落とす環境でしたが、十分準備とトレーニングを行い、トラブルを想定して行動していれば、自信を持って行うことができました。
SNSの不特定多数の意見を鵜呑みにする危険
この少年には、SNSの意見など気にせずに、行けるところまで行って欲しかったと思います。私ならSNSなどに公開せず、やるのであれば黙ってやったと思います。もしくは歩き始めてからまたはやってからSNSに投稿したと思います。
夢や計画を行動する前に人に話すことの危険性がここにあります。実際にはまだ何もやっていないのに、人に話したり、SNSに投稿することによって、半分やった気分になってしまうことがあります。また今回のように批判にさらされる可能性も大です。
実際、歩いて日本を縦断した人など何百人、何千人といるはずですし、現代日本ではさほど大きな冒険でもありません。1日か2日あるけばコンビニがあって、どこでも何でも手に入るのが今の日本です。
にもかかわらず批判をする側は、実際の経験や知識に基づいたものではなく、もしこうなったらどうするんだという”脳内の妄想”に基づいて批判をしているだけです。それを鵜呑みにするのは危険です。
SNSよりも自問と行動を
SNSはうまく使えば大変役に立ちます。今回のベトナムでのロックダウンでもSNSが情報源として大変役に立ちましたし、実際にお目にかかったことのない人でも、ああこういう考え方があるんだとか、こういうことに関心があるのだということなど色々と参考になりました。
しかしSNS上での評価を気にしすぎて行動が影響を受けてしまっては本末転倒です。
まずは本当に自分が何をやりたいのか、何かをやろうとするのであれば他人の評価など関係なく、本当にそのことが好きでやるべきことなのかを自問すべきではないかと思います。
そして本当にやりたいのであれば、黙って一歩を進めるべきでした。歩いて旅行するということは多くの果実をもたらしてくれます。自分自身をより深く知ることができますし、地域での人との触れ合いも多くあります。本来であれば刺激的で自分自身の成長と自信につながったはずです。
少年にはまた機会をあらためて再挑戦をして欲しいと願っています。
行けるところまで行ってみればよかったのに。
実体験せずにネットの意見でやめてしまうようになると、本当に唯一無二である挑戦はできなくなる。誰もやったことない挑戦はほぼ反対しかされないし、前例なんかないから実際にやってみてどこまでやれるか探っていくしかない。https://t.co/L1aw3ng3GK— 安田純平 (@YASUDAjumpei) October 28, 2021