私は、私自身とこの国との最初の出会いとなった何年も前の朝のひとときを、妙に静かな気持ちで思い出しながら、戦火の連なる水田の彼方を長い間見つめた。絶え間ない銃声や砲音も耳に入らなかった。根元をさぐれば殺伐なはずの、黒煙や白煙自体も、このものうい大パノラマの中では、春がすみのように淡くおだやかなものにみえる。

その優しく穏やかな風景を舞台に、今、ひとつの世界の終焉の最後の幕が演じられている。次々と盛り上がる黒煙、白煙、バラバラに飛び交う数知れぬ黒い鳥 ー。人の世は儚く矮小だ。そして一国の最後とは何とグロテスクなものかー身を置く場所も時も忘れてそんなことを思った

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